心理教育相談センターでは、6月1日(土)に地域包括支援学科および地域連携センターと共催で、第19回 長崎純心大学 心理教育相談センター講演会「産業心理職のこれまでとこれから~職場におけるメンタルヘルス活動への期待と役割~」を開催しました。
心理教育相談センター講演会「産業心理職のこれまでとこれから~職場におけるメンタルヘルス活動への期待と役割~」
[午前]基調講演
午前の基調講演では、日本産業心理職協会の森崎美奈子先生より、産業保健の基礎から産業現場における心理職の位置づけや求められる役割、今後の課題など丁寧に幅広くお話しいただきました。
[午後]シンポジウム「産業現場が求めるメンタルヘルスと産業心理職」
シンポジウムでは、まず、本学地域連携センターEAPサービスの実践について報告を行いました。
その後に、本学EAPサービスの利用者である事業所及び連携機関の方にシンポジストとしてご登壇いただき、それぞれの職場や立場で取り組んでおられるメンタルヘルス支援とEAPを含む産業メンタルヘルス及びそれにかかわる心理職へのニーズや期待、今後の課題などについてお話しいただきました。
【シンポジスト】
?一ノ瀬利光先生(MHPSエンジニアリング株式会社 取締役常務執行役員 長崎事業部長)
?淡野義長先生(長崎リハビリテーション病院 人材開発部副部長)
?長岡清子先生(三菱重工業株式会社 長崎人事労政グループ健康衛生チーム 保健師)
講演会への参加者と皆さんからの感想
当日は、地域の皆様はもとより、学生、心理職、実際にメンタルヘルス支援に携わっている企業の方や保健師の方など多くの方にご参加いただきました。
参加された方々からは「メンタルヘルスについて理解を深めることができた」「産業現場の実情を知ることができた」「産業心理職への興味?関心が強くなった」「今回の講演会で学んだことを職場でも活かしていきたい」などの感想もいただき、大変有意義な講演会となりました。
今後も地域の皆さまに役立つ企画を行っていきたいと思います。
参加者の感想
今回のご講演では、産業心理職に加えて経営者、管理者、保健師の方々のお話も伺うことができ、様々な立場からの産業心理のこれまで、現状、これからという幅広い内容について学ばせていただきました。
森崎先生の「個人の相談の裏には組織の課題がある」という言葉が大変印象に残りました。私たちは普段クライエントと1対1で関わることが多いですが、産業心理分野では、個人への支援で得られた学びを組織へフィードバックすることが求められることが特徴だと思いました。組織に介入するためには専門職だけではなく、そこで実際に働かれており会社の状況を知っていらっしゃる管理職にも協力していただき、会社全体で従業員のメンタルケアに臨むことが大切だと感じました。
先日、勤務している病院で職員のストレスチェックがありました。メンタルケアを行っている側である医療従事者自身のメンタルケアも大事だと思われるので、自分自身のメンタルについても日頃から気にかけようと思いました。
(嬉野温泉病院 心理士 渕 成美)
産業心理職に大きく貢献された森崎先生による産業心理職の成り立ちを中心にしたご講演で、産業心理職が確立していくまでのお話を聞くことができました。産業心理職の前例が無いなか、手探り状態で検討した日々については大変貴重なお話でした。特に「現場を把握しないと相談に乗れない」と現場に足を運び、現場の人と積極的に関わっていったお話は、産業だけに関わらず、心理職全般にいえる素晴らしい姿勢だと思いました。
また、長崎純心大学地域連携センターが行っているEAPを取り入れている事業場の方から、EAPをとりいれてからのメンタルヘルス活動の重要性を聞くことができました。事業場からの声を聞くという機会はなかなかなく、どの事業場の方からも新鮮で熱のあるお話を聞くことができました。その中で、事業場から心理職に求めること、というお話もあり、今後心理職で活動していくなかで、心にとどめておきたい意見が多数出て、貴重な時間になりました。
(人間心理学科4年 松村 千里)
講演会講師らと当日運営に関わった本学大学院生たち