「建学の精神」を生きる
カトリシズムの精神で、
「知恵のみちを歩み 人と世界に奉仕する」
皆さまにおかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
日頃より皆さまには多大なるご支援を賜り、衷心より厚く御礼申し上げます。
この度、片岡瑠美子学長の後任として長崎純心大学の学長を拝命いたしました。10年という長きにわたり、多大なご苦労の中で本学の責任者としてご尽力いただきました片岡瑠美子前学長に、この場をお借りして心からの感謝と労いの言葉を申し述べたいと存じます。誠にありがとうございました。
2024年、純心女子学園は創立89周年、長崎純心大学は創立30周年を迎えます。初代学園長シスター江角ヤス先生をはじめ、偉大な先輩諸氏が築き上げてこられた純心の歴史と多くの実績を振り返りますと、責任の重さを自覚するとともに、自らの不足を自覚いたしております。しかしながら、教職員をはじめ卒業生、在学生、ご関係の皆さまからのご理解、ご支援を賜りながら、本学の建学の精神を伝える尊い使命を果たすことができますよう、誠心誠意努めてまいりたいと存じます。皆さまの変わらぬ温かいお力添えをいただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
長崎純心大学は、カトリック教会の目指す普遍的愛の精神で、互いの多様性を認め、受け入れ合い、助け合いながら、一人ひとりのかけがえのないいのちの尊厳を大切にする教育を目指しています。「カトリシズムの精神」とはまさにこの、キリスト教的愛の普遍性を意味しています。カトリシズムの精神に基づいて、「知恵のみちを歩み 人と世界に奉仕する」ことのできる豊かな人間性と、高い専門的能力を備えた人の教育、これが本学の「建学の精神」です。
「知恵のみちを歩み 人と世界に奉仕する」成熟した人間となるために必要なのは、本学での学びに加えて、様々な体験を通して「知識」を広め、深めること。さらには、蓄えた「知識」を生かしながら、物事を客観的に理解し、適切に用いる応用力?判断力?実践力としての「知恵」を深め、世界平和の実現と地域社会?世界の発展のために貢献していくこころざしです。
本学が理想とする「知恵」と「奉仕」の模範は聖母マリアです。聖母マリアの「優しさに満ちた純粋な愛の心」、これが本学名「純心」の由来です。初代学園長 江角先生が学園の宝として掲げた学園標語「マリアさま、いやなことは 私がよろこんで」。面倒で関わりたくないと思った時に、聖母マリアの「純心」、すなわち、優しさに満ちた純粋な愛の心をふと思い出して、ほんの小さな犠牲をすすんで捧げ、奉仕するならば、それが神さまと人の喜びとなり、最終的には自分自身の喜びになります。学園標語は、そうした犠牲を伴う真の愛の行いなのです。
ここ「恵の丘」に刻まれた被爆者の苦しみと純心復興への感謝を決して忘れることなく、いのちの尊さと平和の祈りを、長崎純心大学から世界と次の世代へとともに語り継いで参ります。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2024年4月1日
学長 坂本 久美子